今回はWoopieスリングとLoopieスリングの違いについて調べてみようと思います。まずはこちらの表をご覧ください。(小さくて見づらいですね、とほほ)
これはTenex-TEC(1/2インチ)を用いた、様々なスリングの強度比較を示しています。黒い数値はWsSpur2012カタログから引用しており、赤字は引用した数値から私が独自に算出したものです(デッドアイスリングのABSとWLLの比率を元に)。
簡単に要約しますと、
- Dead Eye Sling 化したことによる強度低下はわずか50kg。 (スプライスの影響でもっと強度低下すると思うんだけどなー)
- チョークしたことによる強度損失は32.3%(残り67.7%)。 (実際の現場ではもっと低下すると思います。50%は見ておきたい)
- Dead Eye Sling と Woopie の強度は同じであり、Loopie の強度はその2倍になる。
今回の記事の趣旨から外れますので、1と2は気にしないでください。文句があるならWesSpurに言ってくださいね。
ポイントは3番です。Dead Eye Sling と Woopie の強度は一緒であり、Loopieの強度はその2倍。この数値に関しても、「どこまでWesSpurを信じるのか?」という問題はありますが、今は信じてみます。信じてみましょうよ。
【woopie について】
WoopieってのはEye to Eye Sling(以下 E2E) の親戚なんですよ(つまりDead Eye Sling とも似ています)。分かりやすく言うと、まあこの写真を見てください。
なんてことない、俗にフリクションコードとか言われる、ただのE2Eですよね。Woopie は、片側のアイは普通にスプライスして、もう一方の末端のアイは長さ調節できるようにしたものなんです。
(ちなみにDead Eye Sling は片側が固定アイにスプライスされていて、もう片側はなにもなし。)
なので、「TENEX本来の強度 - 固定アイのスプライスに起因する強度損失分」という式で強度を弾き出せます(一応)。
さらに実際の使用方法を考えると、チョーク締め(ガースヒッチ)で幹に取り付けることがほとんどです。この理由から、WesSpurのWLLはチョーク締めによる強度損失を事前に織り込んだ数値が記載されているのでしょう。
【Loopie について】
Loopieはエンドレスループの親戚なんです。エンドレスループは写真を参考にしてください。こういうソウンスリングとか、そういうやつ。
エンドレスループに荷重をかけた場合、強度はロープの2倍になります(理論上)。
これ、わかりますかね?写真のループの下端にカラビナをかけて引っ張ったとしましょう。この時、カラビナから見て右左に分かれたウェビングは荷重を均等に分担します。だから強度は2倍になります(あくまで理論上)。
さて、Loopieはエンドレスループを長さ調節可能にしたものです。だから「TENEX本来の強度 × 2」という式で強度を弾き出せます(理屈では)。実際にはLoopieのスプライス(指ハブ方式)による強度損失を考えないと駄目なんですけど、そこまでの損失にはならないと思います。
そしてこれもWoopieと同じく、実際の現場ではチョーク締め(ガースヒッチ)によって幹に取り付けることがほとんどですので(以下略)。
【まとめ】
Woopie と Loopie の違いがだいたいお分かりいただけたでしょうか。お互いよく似ているのですが、実際は全然違うものです。小麦粉と米粉くらいの差はあるでしょう!
そして、強度に関しては
- Woopieは「TENEX本来の強度 - 固定アイのスプライスに起因する強度損失分」
- Loopieは「TENEX本来の強度 × 2」
なんて書いていますが、これは正確ではありません。WoopieとLoopieの違いをわかりやすくするために言ってみただけです。実際には、ここから更に「指ハブ」方式のスプライスの強度損失を考える必要があります。ちなみにここの長さが長いほど強度損失は低下するらしいです(RR668にそのような記載あり)。
と言う訳で、Woopieをアーボリストブロック取り付け用スリングとして使うのは止めたほうが良いかと思います。
ポータラップの取り付けをLoopieでしたらいいじゃん!と思ったこともあるのですが、個人的経験としては何かと面倒でした。また、Woopieの固定アイでガースヒッチすることにより、ポータラップの動きを制限する効能もあるらしいです。まあこれに関しては何ともよくわかりません。Loopieだと駄目という明確な理由をご存じの方、教えてください!